通勤時も含めた広い意味で労働者が災害を負ってしまった場合、企業としてみなさまも対応の必要がございます。労災事故について、対応を誤ってしまうと、今後の手続が不利になりかねません。その点を意識してできるだけ早期の弁護士への相談を強くお勧めします。
労災事故における請求については、大きく分けると労災保険の請求、民事訴訟の請求となります。そのそれぞれにおいて、対応が異なってきますので以下で概観していきます。
このページの目次
1 労災保険請求への対応
労災保険は、被災者である労働者もしくはその遺族が労働基準監督署に対して請求するものです。これには基本的に所定の書式が存在し、会社の証明欄が存在します。
事実関係に争いがないのであれば問題ございませんが、例えば、会社に原因が無いにかかわらず、会社の原因とされていたり、会社が考えている事情と異なるものであったりといった場合は証明する必要はございません。
むしろ、そのような状況に関わらず、これに証明をしてしまうと認めたと評価されかねません。
労災保険の申請に限りませんが、検討が手間であるから合意するといったことを行ってしまうと後からそのツケを払わざるを得ません。
特に、労働災害による証明について、労働者災害補償保険法施行規則第23条の2により事業者からの意見を申し出ることも認められておりますので、みなさまの権利として考えて頂いて問題ございません。
2 労災による民事訴訟の対応
もはや訴訟になってしまっていると、ある程度の長期化が避けられませんが、もし訴訟提起前の交渉であれば、調整の余地があるのであればお話合いでの解決も可能です。これによる解決を図ることが出来れば、早期かつ円満な解決が期待できます。
個人的には、もちろん事案によりますが、早期解決自体はメリットの大きいものであると考えておりますので、そこを目指すことが出来ればと考えております。
3 弁護士に相談・依頼するメリット
⑴ 十分な見通しを立てることが出来る
もちろんみなさまからお話を聞かせて頂いた上ですが、裁判になった際の事実認定、支払う必要のある金額の見通しを立てることが出来ます。それを前提にどのような解決を図るのが良いかといったことをみなさまと十分な検討が出来ます。
よくお伝えするのが当該事案における相場観を持って交渉することとしないことの違いはどうですかといったことをお話させて頂きます。
その相場観を理解するといった意味で弁護士利用のメリットは大きいと考えております。
⑵ 労災対応について十分検討できる
上記で挙げたように、例えば「証明」をして良いのか否か、何を提供するのかといった点についても十分弁護士と相談しながら進めていくべきであると考えております。
特に労災を含めた労働関係においては、会社による記録管理が前提とされておりますので、それを踏まえて検討する必要があり、他の事件と比べても難しさがあります。
⑶ 弁護士に依頼することで本業に集中できる
何より、みなさまにとって時間を掛けるべきは本業であり、そこから売上ひいては利益を挙げていかれるべきです。そうなると、慣れていない労災対応に時間を掛けるのは得策でないと考えております。
それこそ「慣れている」弁護士と協力し進めて頂くのが良いのではというのが弁護士中村の考えです。
4 労災におけるよくある事案
いわゆる職業病と呼ばれるもの(特定の化学物質や金属、座りっぱなしの仕事からくるもの)であったり過労死(過重業務を原因とするもの)であったりが少なくありません。
実際、これらについて労働者に顕れた症状が本当に会社を原因とするものであるのかであったり、症状が存在するのかであったりといった点をはじめとして、検討要素は少なくありません。
これらをよく見ている弁護士と検討していくことが早期解決の近道ではないかと個人的に考えております。
5 労災対応に困ったらお気軽にご相談ください
実際に労災請求が来そうであるといった状況、来てしまった場合、対応が必要である場合等様々な状況であるかと思います。上記でも繰り返し述べているとおり、ご相談自体は早ければ早い方が良いというのが私の考えです。
一度ご相談で対応の確認をされるだけでも今後の動きが分かりやすくなったと言われる方が少なくありません。お気軽にお問い合わせください。